PREV | INDEX

予感(おまけ)

「なあ、先生。何をしゃかりきになって料理しているんだよ。食材が全部駄目になったらさ、今日の夕飯、リーガルでもまともに作れないぜ」
「そうだよ、姉さん。いくら、イセリアから簡単に食材が手に入るからって、無駄にしちゃだめだよ。いつでも、僕達にはパンのひとかけらでも大切よって言ってるくせにさ」
「……」
「ようよう、皆さん。何を騒いでいるんだよ。うわっ、すごいニオイ。って、リフィル様、いきなりフライパンで殴るのはないでしょ。暴力怪力女はしいなだけで、たくさんっていうの」
「ちょっと、ゼロス。聞き捨てならないことをお言いだね」
「先生、どうしたんですか。ひょっとして、新しい味でも発見したのかなぁ」
 コレットが尋ねたとたんに、周囲の仲間の顔色が変わった。
「あ、俺、今日は親父の手料理があるから……」
「そうだ、姉さん。悪いんだけど、プレセアと出かける約束をしていたので」
「ジーニアス、私達、いつ約束したのでしょうか」
「いいから、プレセア、黙っていてよ」
「リーガル、俺様達、ちょっとメルトキオに用があったよな」
「あ、ああ、神子。そのとおりだ。そろそろ出ないといけないな」
「じゃあ、ついでにわたしも行くよ。陛下に報告することができたような気がするよ」
 そそくさと、テセアラ組が姿を消し、ジーニアスはプレセアの手を取ると小屋から出て行った。気まずそうに、ロイドとコレットが目を合わせた。
「きっと、クラトスさんの夕飯はこれでばっちりですよね」
 コレットの言葉にいらいらと料理をしていたリフィルの手が止まり、まるでクラトスが地の底から語りかけているかのように、リフィルが答えた。
「クラトスからは、早く回復したいから、私の手料理はいらないとはっきり言われたわ」
「あ、ああ、そうなんだ。父さんは正直……じゃなくて。ほら、なんだ。マナが減ってしまって、ファーストエイドを使えないから」
「ロイド、フォローになっていないよ」
 横でコレットが囁いた。
「先生、クラトスさんのためにお料理以外にも出来ること、たくさんあると思うの。クラトスさん、動けないから、きっと退屈してますよ。誰か、お話してくれる人がいたら、嬉しいんじゃないかな」
「え……」
「そうだ。それがいいぜ。な、親父の作った夕飯を俺とコレットで後で持っていくから、先生はとうさんの横で話でもしていてくれよ」
 親の心、子知らず。ロイドとコレットのおせっかいで、クラトスはますます抜き差しならぬ状態に追いやられる。
PREV | INDEX
 
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送