アビスのお話

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  忠告  

「おや、アニスちゃーん、何をしているのですか」
 ぎくっっ。
「な……、なんでもありませんよ。ほら、皆のために一生懸命戦っていたから、トクナガが傷んだので、直しているっていうか……」
「ほう、こんな夜中に、こんな場所で、ですか」
「え……、あ、明日も早いですからね。今のうちにって言うか、……えへへ」
「それは、アニスちゃんにしては殊勝な心掛けですが、手にしている人形、私には、ただの藁人形にしか見えませんね。眼鏡の調子が悪いんでしょうかね」
「そ、それはですね」
「アニス、私はマルクトに敵対しない限り、あなたの行動をとやかく言うつもりはありませんが、それにしても、呪いをかけるとは穏やかではありませんね。ましてや、彼はあれでも我々の仲間です」
「ぎくっっ」
「お止めなさい。そんなことで、彼はあなたに振り向きませんよ。それにですね」
「だ、だって……。時間がないんだもの……。大佐になんて、私の気持ち分かるわけないよ。何だって出来ちゃう人にわかるわけないよ」
「あ、アニス、待ってください」
「勘違いされちゃいましたね。私は呪いの方法が間違っていると教えてあげるつもりだったのですがね。藁人形に釘を打っては、逆効果ですよ。そんなことしなくても、あなたの良さを分かっている者はすぐ側にいるんですけど。頼ってもらえませんかね」
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